年金生活者支援給付金について

当記事は、CLOUD STATION様の公式ブログで掲載いただいたものと同内容です。

目次

はじめに

「年金生活者支援給付金」をご存知でしょうか。

「年金生活者支援給付金」とは、消費税率の引き上げ分を活用し、所得などが一定基準以下の年金受給者を対象に、生活の支援を図ることを目的として、年金に上乗せして支給される給付金です。

今回は、年金生活者支援給付金の制度概要と申請方法についてご説明したいと思います。

年金生活者支援給付金の種類

年金生活者支援給付金には、次の3種類があります。

1. 老齢年金生活者支援給付金

2. 障害年金生活者支援給付金

3. 遺族年金生活者支援給付金

それぞれの給付金は、受給者の状況に応じて支給されるものであり、支給要件や対象者が異なります。

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金

老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金を受給している65歳以上の方で、所得が一定基準以下の方を対象に支給されます。

以下の支給要件をすべて満たしている方が対象です。

(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること

(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税であること

(3)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が878,900円以下であること

ここでいう収入金額には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。

また、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が778,900円以下の場合には「老齢年金生活者支援給付金」が支給され、778,900円を超え〜878,900円以下である方には「補足的老齢年金生活支援給付金」が支給される仕組みとなっています。

参考1:老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要(日本年金機構HP)

障害年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受給している方で、前年の所得が一定の基準を満たしている場合に支給されます。

以下の支給要件をすべて満たしている方が対象となります。

(1)障害基礎年金の受給者であること

(2)前年の所得が4,721,000円+ 扶養親族の数 × 38万円*以下であること

障害年金生活者支援給付金の判定に用いられる前年の所得には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。

*所得の上限は扶養親族の数によって変動し、同一生計配偶者や扶養親族の年齢によってもその基準が異なります。

参考2:障害年金生活者支援給付金の概要(日本年金機構HP)

遺族年金生活者支援給費金

遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金を受給している方で、特定の支給要件を満たしている場合に支給されます。

以下の支給要件をすべて満たしている方が対象となります。

(1)遺族基礎年金の受給者であること

(2)前年の所得が4,721,000円+ 扶養親族の数 × 38万円*以下であること

障害年金生活者支援給付金同様、ここの判定に用いられる前年の所得には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。

*所得の上限は扶養親族の数によって変動し、同一生計配偶者や扶養親族の年齢によってもその基準が異なります。

参考3:遺族年金生活者支援給付金の概要(日本年金機構HP)

生活者支援給付金の支給額

次に、それぞれの年金生活者支援給付金の支給額についてみていきましょう。

以下は、いずれも令和6年度の金額です。

(1)老齢年金生活者支援給付金

老齢年金生活者支援給付金の給付額は、月額5,310円を基準に、保険料納付済期間と保険料免除期間に基づいて計算されます。具体的には次の通りです。

1. 保険料納付済期間に基づく給付額(月額)

   5,310円 × 保険料納付済期間 ÷ 被保険者月数480月

2. 保険料免除期間に基づく給付額(月額)  

   11,333*円 × 保険料免除期間 ÷ 被保険者月数480月

これらの給付額は毎年物価によって見直されるため、年ごとに変動します。また、*上記2の保険料免除期間に基づいた計算をする場合で、保険料が4分の1免除の場合には、「11,333円」ではなく「5,666円」で計算を行います。

詳しくは下記リンクをご確認ください。

参考1:老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要(日本年金機構HP)

(2)障害年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金の給付額は、障害等級に応じて異なります。

1.障害等級2級: 5,310円(月額)

2.障害等級1級: 6,638円(月額)

この給付額も、物価によって毎年見直されるため、年度によって変動することがあります。

(3)遺族年金生活者支援給付金

遺族年金生活者支援給付金の支給額は月額5,310円です。

こちらも、物価の変動に応じて毎年見直されるため、年度によって変動する可能性があります。

また、2人以上の子どもが遺族基礎年金を受給している場合、5,310円を子の数で割った金額がそれぞれの子どもに対して支給されます。

年金生活者支援給付金の申請方法と留意事項

年金生活者支援給付金を新規に請求する場合は、老齢・障害・遺族基礎年金の裁定請求と同時に年金生活者支援給付金の請求を行います(認定請求といいます)。

すでに年金を受給している方の場合、日本年金機構が毎年市町村から所得に関する情報を受け取り、年金生活者支援給付金の支給要件を満たしているかどうかを自動的に判定します。よって、支給要件を満たす場合には、2年目以降のお手続きは原則不要となります。

このように、基本的には課税証明書等の添付は必要ないですが、所得情報等を確認できない場合など、一部提出をお願いする場合もあるそうです。

また、前年よりも所得が低下するなどの理由で新たに支給対象となった方には、日本年金機構からハガキ形式の請求書が郵送されます。

一方、所得が高くなったなどの理由で支給要件を満たさなくなった場合には、年金生活者支援給付金は支給されなくなります。その際は、年金生活者支援給付金不該当通知書が郵送されます。

他にも、次の(1)〜(3)のいずれかの事由に該当した場合は、給付金は支給されません。

  (1)日本国内に住所がないとき

  (2)年金が全額支給停止のとき

  (3)刑事施設等に拘禁されているとき

(1)または(3)の場合は必ず届出が必要となりますので、年金事務所にご相談ください。

おわりに

年金生活者支援給付金は、年金を含めても所得が低い方の生活を支援するために、年金額に上乗せして支給する制度です。支給要件に該当し、初めて受け取る方は、認定請求という手続きが必要になります。請求に際し詳しくお知りになりたい方は、以下のHPをご確認ください。

参考:年金生活者支援給付金(日本年金機構HP)

なお、年金生活者支援給付金の請求にあたって、肢体が不自由な方や認知症の方など、ご自身での記入が困難な場合は、代理人などが代筆にて請求手続きが可能です。

年金生活者支援給付金の手続きに限ったことではありませんが、年金事務所では、耳や発声が不自由なために電話による年金相談を行うことが困難な方々のために、ファクシミリによる年金相談を実施しています。

個人情報保護の観点から、年金加入記録、受給権者記録および年金見込額など個人記録に基づく相談はご本人を対象としていたり、相談に対しての回答はご本人あてに郵送していたりと一部制限もありますが、活用されたい方はご参考にしていただければ幸いです。

まつもと社会保険労務士事務所は、障害年金の請求に力をいれている事務所です!お問い合わせお待ちしております。

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